マーガリンが食べるプラスチックと呼ばれる理由|嘘・誤解それとも悪意?

パンに塗るマーガリン

マーガリンが「食べるプラスチック」と呼ばれる理由は、2018年6月にアメリカで使用禁止となった(まだ3ケ月前のことです)、マーガリンやショートニングの原料である「部分水素添加油脂」と関係が深いようです。

今日は、マーガリンやショートニングがなぜ、「食べるプラスチック」などと呼ばれているのか、またそれは事実なのか嘘なのか、について紹介させていただきますので是非チェックしてみてください。

関連記事はこちらです ⇒ 「アイスクリームに植物油脂、なぜ必要|トランス脂肪酸と添加物の危険性!」
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マーガリン類とショートニング

もともとバターが高価であることから、バターの代替え品として作られました。100gのバターを作るのに4.8リットルもの牛乳が必要になりますから、価格はそれなりにしますよね!当初は、「人造バター」と呼ばれていたようですが、私は聞いたことがないかな?たぶん・・・。

現在、日本で販売されている家庭用のマーガリンの多くはファットスプレッドです(油脂含有率が80%以上のものをマーガリン、80%未満のものをファットスプレッドと呼びます)。

焼き菓子やパンに練り込んだり、アイスに添加したり、フライドポテトなどの揚げ油として使われるのがショートニング(無水マーガリン)。マーガリンから水分と添加物を除いた純度の高い油脂です。要は、味もない水分もないマーガリンですね。

これら、マーガリン類・ショートニングの原料となる「植物油脂」とか「加工油脂」と表示されているものが、「食べるプラスチック」「プラスチックオイル」「オイルのプラスチック化」「危険な油」「死んだ油」「狂った油」などと呼ばれています。

最後の方は酷いネーミングですよね〜。なんだか悪意すら感じますが・・・。私だけでしょうか?

植物油脂(加工油脂)が危険なのは、トランス脂肪酸の含有

大豆や、とうもろこし・なたね・オリーブ・ごま・べにばな(サフラワー)などの植物性油を原料に植物油脂(加工油脂)を製造します。この過程で副産物として生成されてしまう、「トランス脂肪酸」が危険な物質なんです。

トランス脂肪酸が危険な理由については、こちらを参考になさってください

 

トランス脂肪酸を多く含む油脂(部分水素添加油脂)で作られるマーガリンやショートニングの分子構造に注目してみると、不安定だった分子構造が水素原子の移動(トランス)した結果、綺麗に整列し安定した構造となって、常温でも個体を保てるようになります。そして、酸化しにくくなることで、圧倒的な保存性を手に入れることができたんです。

しかし、マーガリンとバターを屋外に放置した実験では、バターにはアリが群がりましたが、マーガリンは見向きもされませんでした。それどころか、ゴキブリやネズミも食べません。さらには、微生物もつかないのでカビも生えず腐敗もしません。

おそらくこういった実験結果をもとに、虫も食べないし、腐らないので食べものではない。そう言う話しになるのでしょう。

しかし、元々純粋な油脂はカビたり腐ったりする物質ではないですから、腐る腐らないが危険かどうかの判断材料にはならないんですがね。

マーガリンとプラスチック(合成樹脂)の違い

部分水素添加油脂(植物油脂・加工油脂)は、本当にプラスチック(合成樹脂)によく似ているのでしょうか?

私の本業は、合成樹脂の原料メーカーで研究開発の仕事に携わっています。毎日、実験室にこもっている偏屈なオジサンって感じでイメージしてみて下さい(笑)

それはさておき、結論から言うとトランス脂肪酸とプラスチックは似ていません。大きさも構造も違います。

まず、プラスチックは高分子化合物であり、同じような構造が長く連なってできた物質で、含まれる炭素の数も数百以上にものぼります。対して、トランス脂肪酸を含む部分水素添加油脂で作った食品中の脂肪酸は、炭素の数は多くても22個程度しかありません。

さらに、トランス脂肪酸を含む食品中の脂肪酸には、端っこにカルボキシル基という構造がくっついていますが、プラスチックにはありません。

まったくの別ものなんです。マーガリンはプラスチックではありません。

マーガリンが、プラスチックと言う考えは、ただの例え話しに過ぎません。


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プラスチックという言葉の意味にも原因が?

例え話しや噂になる原因の一つに、プラスチックという言葉の意味も関係しているようです。バターやマーガリンのような固体の物質に外力を加えると変形しますが、力を加えるのをやめても元に戻りませんよね。このような性質のことを可塑性といいます。

そして、この可塑性のことを英語では「plasticity」と表現し、可塑性(熱可塑性)のある合成樹脂を「plastic」と呼びます。つまり、プラスチックという言葉は可塑性という性質から来たもののようです。

また、植物油を水素添加する工程を「plasticize」と呼んでいたことから「オイルのプラスチック化」といわれるようになったとも考えられます。

さらには、1998年にアメリカで「危険な油が病気を起こしている」という書籍を発表したジョン・フィネガン氏によると

「水素添加した脂肪の分子を顕微鏡で見るとプラスチックにたいへん似ていて、科学者たちはオイルのプラスチック化と呼んでいたそうだ。」と・・・。

 

これらの説が考えられるわけですが、いずれにしても部分水素添加油脂(植物油脂)は、プラスチックではないです。

しかし、キャッチコピーとしては「食べるプラスチック」という言葉は、インパクトがあって世間に広まっていったのではないでしょうか。

ついに部分水素添加油脂不使用のマーガリン・ショートニングも

世界中でトランス脂肪酸が、危険視され各国で規制がかかり、各食品メーカーは自主的にトランス脂肪酸の低減に取組みはじめ、今年に入って乳製品大手の2社が、部分水素添加油脂不使用の家庭用マーガリンの発売を開始しました。

もちろん、この2社より先に、部分水素添加油脂の使用をやめた企業もありますし、マーガリン・ショートニングに限らず食品からのトランス脂肪酸低減活動に力を入れている企業もあります。

これで、「マーガリンは食べるプラスチック」では無くなりますね(笑)

もともと違うけどね・・・。

なにより、カラダに悪影響を与えるトランス脂肪酸低減の取り組みが、日本の企業でも始まったということは喜ばしいことです。国が動かずとしても、良心ある企業が自ら行動すれば、この日本も変われるのかも知れない。そんな期待をしてしまいました。

ほんと、一日も早く世界に追いつき、安全で安心な食べものを誰もが手にできるようになればいいのにな〜〜と本気で思っちゃいます。

ただ、食に関して言うとトランス脂肪酸の話しだけじゃないですからね。食品添加物の問題、遺伝子組み換えの問題、合成甘味料の問題、あげるとキリがないですが、不安要素はまだまだたくさんあります。

私たち人類の、これからの課題ですね。


今日のおさらい

 家庭用マーガリンの多くはファットスプレッド
 油脂含有率が80%以上をマーガリン、80%未満をファットスプレッドと呼ぶ
 ショートニングはマーガリンから水分と添加物を除いた純度の高い油脂
 マーガリン・ショートニングの原料となる「植物油脂」(加工油脂)が「食べるプラスチック」などと言われる
 植物油脂(加工油脂)の製造過程で副産物として生成される「トランス脂肪酸」が問題
 虫も食べないし、腐らないので食べものではないと言う誤解が生まれた
 言葉の意味からくる誤解が生まれた
 マーガリンはプラスチックではない
 「食べるプラスチック」という言葉は、キャッチコピーとしてインパクトがあり世間に広まった

今日は、マーガリンやショートニングが「食べるプラスチック」などと呼ばれている理由を見てきましたが、いかがでしたでしょうか?

いろいろな誤解と、危険性とが相まって「食べるプラスチック」などのキャッチフレーズが考えられたようですね。

「マーガリン=プラスチック」,「トランス脂肪酸=プラスチック」と言われてきたのは、単に間違いだったり、誤解だったり、はたまた意図された悪意だったり・・・。

真意は分かりませんが、とにかく過剰摂取すると害があると言うのは明らかですから、それだけは間違えないようお願いします。

これからは、日本も世界と同様にトランス脂肪酸低減に向け、頑張りましょう!

トランス脂肪酸が世界各国で、どう扱われているのか?日本の対応については、こちらを参考になさってください

 

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